お風呂から出た瞬間、カメラと目が合った。
血の気が引く。
嘘。
いや、嘘であってほしい。
そうであってくれ。これはカメラではなく、普通のモバイルバッテリーだと。
今回はデリヘル嬢と盗撮犯の戦い
こんにちは!アンです。
今回は私が出稼ぎ中に遭遇した盗撮エピソードを書いていきたいと思います。
もしも自分が盗撮にあってしまったら、警察に突き出すのか、示談にするのか、見なかったことにするのか、自分で詰めるのか、スタッフに助けを求めるのか…
盗撮に遭ってしまったときの対処法の1つとして、風俗で働く女の子も読んで貰えたら嬉しいです。
\前回のあんコラムはこちら/
デリヘル嬢、盗撮に気づく
夏、お盆の夕暮れ。
サラリーマンの帰省時期を狙って、稼ぐぞ!と意気込んでいた私は、地方へ出稼ぎに行くことに。
初めて行くお店なこともあり、最初は緊張していた。しかしスタッフさんもお客さんも優しく「このお店リピートありだなぁ」なんて呑気に考えていた。この時までは。
事件が起こったのはなんと出稼ぎ最終日。
写真指名が入り、ホテルに行きお部屋に入ると、現れたのは優しくて少し気弱そうな30代男性のお客様。
お話しも弾んでお風呂への誘導もスムーズに行き、良いお客様だな…と思いお風呂から出ると、枕元に黒い物体。
なんだろう。
近づいて見ると大きめのモバイルバッテリー。
枕元のコンセントと繋げていて、充電をしているようだった。
普通なら「なーんだモバイルバッテリーか」と終わるこの光景。
しかし私は、この光景に不信感を抱いた。
というのも、私は以前Twitterで盗撮グッズのツイートを見たことがあった。
盗撮グッズの種類は最近かなり多様化していて、ボールペン型やメガネ型、ペットボトル型など様々な種類がある。
その中のひとつにモバイルバッテリー型があったのだ。
そしてその目の前にあるモバイルバッテリーは、明らかに枕の方向に向けて置かれたものだった。
お客様がまだシャワーを浴びているのを確認し、急いでモバイルバッテリーを手に取る。
そして枕を向いている方向の側面に黒いカメラレンズ…。
目があった瞬間、一瞬で血の気が引いた。
どうしよう。
これってお店に言うべき?言わないべき?
1番に考えたのはそれだった。
お店に助けを求めたが助けてくれず、結局泣き寝入りした…という話をSNSで見たことがあったため、最初は躊躇した。
しかし、もし自分で詰めて危ない目にあったらどうしようという不安が勝ち、お店に急いで連絡することに。
お店に急いで「盗撮です。来てほしいです」とLINEを入れた。
デリヘル嬢、盗撮犯相手に時間稼ぎのプレイ
そこからはお店の人が来るまでの時間稼ぎ。デスゲーム開始。
なにがなんでもバレるわけにはいかない。
もしお店のひとを呼んでいるのがバレて逃げられてしまったら、証拠不十分で泣き寝入りするほか無くなってしまう。
逆上されてしまっても、自分の命が危うくなるかもしれない。すなわち、死。
とにかく自分の身を守ることで精一杯だった。
そんな危機的状況だとお客様は知るはずもなく、というよりは犯人はコイツなのでそもそもそんなことを思ってると思わず(女の子の気持ちがわかるならそもそも盗撮をしようとはならない)、お風呂からのんきに出てくるお客様。否、盗撮犯。
「ねえ…ベッドいこう?」
地獄!!!!!
カメラに映るとわかっていてするプレイほど、集中できないものはない。
しかし断るわけにもいかない。
だってここに私は仕事(エロプレイ)をしに来ているのだから。
容赦なく伸びる手。巻いたタオルを剥ぐ。
むり!!!私のだらしない体がカメラに映る!!!
そして合わさる唇と唇。
はあ…これが好きな人となら素敵な描写なのに、目の前にいるのはおっさん(しかも盗撮犯)。
こんなことを言うと仕事意識ガ~と言われるかもしれないけど、正直に言う。
いくらデリヘル嬢でも、おっさんとのプレイはきつい。
盗撮をされているとわかっている状態だから尚更。
スタッフ、早く来て…。と思いながら行為はどんどん進んでく。
このにこやかに笑う顔も、感じている(フリ)の可愛い声も、あと少し…。
耐えろ、耐えるんだ私。
そして案外早く終わるプレイ。
いや、サクッと終わるんかい。そこだけ良客なのなんなんだ。逆に腹立つな(?)
元々60分の短時間コースだったのとスタッフが近くに居なかったのが相まって、タイムリミットは確実に近づいていた。
このままだと逃げられてしまう…!
スタッフが来るまで時間稼ぎしなければ…!
居ても立っても居られず、お互いが喫煙者なのを良いことに「プレイ終わりの一服しません?」とさりげなくソファに移動。
この位置ならカメラに映らないし(今更だが)、なにより携帯を見ても不審ではない。
盗撮犯の「いや〜良かったよ〜」みたいなピロートークを半分くらい聞き流しながらLINEを確認。
「店長が向かってます」ピロン
てんちょおおおおお!
このときばかりは店長が神に見えた。
店長、ビックラブ。
もう後は店長を待つだけ、と、気持ちを立て直し、お客様のどうでもいい会話に大げさに相槌を打ち、とにかく時間を延ばす作戦に出ていた。
正直、そのときの会話は緊張でまるで覚えていない。
プレイ後もゆっくりお話してくれて、さぞサービス精神旺盛な嬢だと思っただろう。
待っていろ、私がもうすぐ地獄に突き落としてやる。
良い頃合いを見計らってプレイ後のシャワーを浴び、服に着替えて、荷物をまとめる。
そしてまた一服。盗撮犯が喫煙者で良かった…とこのときばかりは思った。
店長到着!
ちょうど一服し終えたそのとき、部屋に鳴り響く内線。来た!!!
「お店のひとがお部屋にお見えになっています。」と告げる電話口のおばちゃん。
あまりに声がデカかったため、盗撮犯に聞こえてしまい、顔が曇る。
「お店のひと…?」といぶかしがるお客様に「お迎えわざわざ来てくれたんですかね~?」とすっとぼけをかまし、清算をし、部屋を出る。
瞬間。
部屋の目の前の廊下の壁に寄りかかり、腕を組んで立っている店長と目が合う。
私がサッと盗撮犯から離れ、その間に店長が割り込む。
そして「ちょっとお荷物見せて貰ってもいいですか?」と、有無を言わさず部屋の中へ盗撮犯を押し込む。
それはまるで事前に打ち合わせでもしていたかのような、無駄のない洗練された動きだった。
バタン。
ドアが閉められ、店長と盗撮犯が一瞬で目の前からいなくなる。
その途端に安心からか足の力が抜けて廊下にへたり込む。
ああ、私はちゃんと怖かったんだ。
盗撮犯といる間は、盗撮に気づいてることを隠すのに必死でそれ以外のことを考えられなかったが、いざ解放されると自分がかなりおびえていたことに気付いた。
やっと終わった。
事件が解決したわけではないが、身の危険から解放されたというだけでかなり安堵した。
結局その日は最後まで働いた。
ほかのスタッフに迎えにきて貰い、事務所に戻って「今日この後はどうしたい?」と聞かれたが、これでくじけてしまったら負けた気がするなと思い、出稼ぎを最後まで走り終えることに。
デリヘル盗撮犯はゴミ債務者
そして肝心の盗撮犯ですが、めちゃくちゃ債務者だった。
貯金0。ア●ムの借り入れ上限額があと16万しかないというゴミスペック。
もしかして盗撮した映像で一儲けして借金を返そうとしてたのだろうか。そうだとしたら背筋が凍る。
通常、盗撮の相場は30万程度からと言われている。
が、示談しようにも搾り取る金がない。
というか、ア●ムを借りて風俗に来るな。
エロをしている場合じゃないだろ。
そう思ったものの、ない財布からは搾り取れない。
ア●ム上限額満額もらう+カメラ没収という形でこの事件は幕をおろした。
デリヘルでもなんでも盗撮はやめよう
めちゃくちゃ当たり前のことを言いますが、盗撮はダメ、絶対。
今回盗撮を身をもって体験してみて、盗撮ってきっと男性が思っているより相当怖いものだなと感じた。
盗撮犯を店長に突き出した後も「もし冤罪だったらどうしよう…」「私悪いことしてるみたい…」と持たなくていい罪悪感に悩まされ、事件が解決した後も、カメラを見つけたときの血の気が引く感覚が忘れられず、いまだにお仕事の時はついカメラがないか気にしてしまう。
もちろん自己防衛する意味では”もしかしたらカメラがあるかもしれない”くらいの意識を持っているほうが自分の身を守れるが、そもそもで女の子がおびえなくて良い環境でお仕事が出来るのが理想である。
当然だが、女の子の給料には危険手当が入ってるわけではない。でも、良いお客さんにはたくさん気持ちよくなってほしいから、今日も出勤するのだ。
お互いがのびのびと最大限のパフォーマンスを発揮出来る環境を作って、良い風俗ライフを送ろう。